治験薬管理室

治験薬管理体制設備温度管理盲検体制調剤・調製搬入・回収その他

当院では治験薬管理部門に専任の薬剤師3名と兼任を2名配置し、治験薬管理業務を行っております。
このページでは当院の治験薬管理体制について紹介したいと思います。
よくある質問についてはQA形式にてまとめておりますので施設調査情報のページもご覧ください。

QAはこちら

治験薬管理体制

治験薬管理体制について紹介いたします。

治験薬管理室のスタッフ一覧はこちら
治験薬管理者および治験薬管理補助者の指名書はこちら(要パスワード)。

※パスワードは治験薬管理者および治験薬管理補助者までお尋ねください。
※詳細は上記QAもご覧ください。

設備

治験薬管理室および設備について紹介します。
治験薬管理室は約70m2の管理室と約40m2のクリーンルームからなり、盲検性の維持等も含めた適切な治験薬管理業務を行うために、CRCが常駐している部屋とは独立した別の部屋となっております。
入り口は常時施錠し、治験薬管理者および治験薬管理補助者のみがその鍵を所有しております。

薬剤の管理設備について

  • 治験薬保管庫
    室温薬剤の管理用に一部屋全てを15-25℃に管理しております。空調機は2台(メイン:非常用電源に接続、サブ:商用電源に接続)設置し、一方が壊れた場合にも温度管理体制が維持できる体制となっております。
  • フリーザ
    約-80℃管理1台、約-20℃管理1台所有しております。電源は非常用電源に接続しております。
  • 冷蔵庫
    冷所管理用に2℃-8℃設定で4台所有しております。電源は非常用電源に接続しております。
  • 麻薬金庫
    麻薬の治験にも対応できるように麻薬金庫を所有しております。過去に麻薬の治験を数件受託しております。
  • 定期点検
    フリーザおよび冷蔵庫は約年1回定期点検を行い、不具合の早期発見に努めております。

薬剤の調製設備について

  • 前室
    調製者の暴露防止、また無菌下での調製を実施するため、前室にて手指消毒、ガウン着用等を行っております。治験薬の特性を考慮し適切なスタンダードプリコーションを実施しております。
  • 注射薬調整室
    クリーンベンチを2台(クラス100)設置し、暴露の危険性のない治験薬の場合に使用しております。
  • バイオクリーンルーム
    安全キャビネット(クラスⅡb)を1台設置し、抗がん剤等暴露の危険性のある薬剤の場合に使用しております。バイオクリーンルームの室圧が最も低くなるように設計しているため、汚染された空気がバイオクリーンルーム外に漏れ出さないようになっております。

温度管理

温度管理体制について紹介します。

当院では温度管理の精度向上および温度記録の負担軽減を目的として、2014年より現在の温度ロガーを用いた温度管理体制を構築しております。ロガーの設定としましては、温度記録間隔は10分、子機から親機を介したクラウドへのデータの抽出は1日1回8:00となっております。温度記録に関する業務としては、8:00時点で抽出されたデータをもとに1日1回目視により前営業日以降に温度逸脱がなかったかを確認し、Investigational Product Temperature Monitoring Log(院内様式)に温度逸脱の有無を記録しております。また、毎月の温度記録および IP Temperature Monitoring Log をPDF形式にてホームページに公開することで温度記録確認へ対応しております。この1か月分の温度記録は「温度記録ファイル」に綴じて保管し、監査・査察時にも温度記録ファイルを閲覧いただくことで、温度記録を確認いただきます。そのため、治験個別に温度記録を印刷し管理ファイルに保存することは原則行っておりません。

ロガーデータ抽出例

Investigational Product Temperature Monitoring Log

 

逸脱感知について

逸脱感知のための温度確認は15分ごとに行われるように設定しております。
逸脱感知のために逸脱手前の温度を設定し、その設定温度を超えた場合は①治験薬管理者および治験薬管理補助者にアラートメールの送信、②治験薬管理室内の警告灯が点灯するように設定しております。以下の表が逸脱感知のための設定温度です。

機器名 機器の設定温度 アラート設定値_下限 アラート設定値_上限
冷蔵庫 2℃~8℃ 2.5℃ 7.5℃
フリーザー1 -15℃~-25℃ -23.0℃  -17.0℃
フリーザー2 -65℃以下 -90.0℃  -70.0℃
治験薬管理庫 15℃-25℃ 16℃  24℃

温度記録について

2018年4月より温度記録をPDFにて公開しております。パスワードは治験薬管理担当者までお尋ねください。

温度記録はこちら

温度ロガー校正証明書

2018年2月校正分よりロガーの校正証明書をPDFにて公開しております。

校正証明書はこちら

盲検体制

非盲検薬剤師が必要な場合の治験薬管理体制について紹介します。

非盲検薬剤師が必要な試験の場合、治験薬管理者および治験薬管理補助者がその役割を担っており、必要時には被験者の来院登録等を行っております。治験薬管理室は常時施錠し、治験薬管理者および治験薬管理補助者のみが鍵を所有しているため盲検下での搬入・調剤が可能です。また、非盲検試験の治験薬管理ファイルは原則治験薬管理室から持ち出すことはなく、KEY OPENされるまでは他の試験の管理ファイルとは区別して保管しております。

治験薬の受領・管理・保管方法について

  • 治験薬管理者および治験薬管理補助者(非盲検薬剤師)が非盲検担当以外のスタッフが入室できない治験薬管理室(常時施錠、治験薬管理者および治験薬管理補助者のみが鍵を所有)にて治験薬を受領する
  • 受領した治験薬は同じく治験薬管理室内にて適切に保管する

使用済み治験薬の廃棄、回収済治験薬の保管、治験薬の返却方法について

  • 依頼者から提供された使用済みの治験薬バイアルは「治験使用薬の施設内廃棄に関する手順書」に準じて、治験薬管理部の薬剤師が調製後速やかに廃棄する。
  • 廃棄する治験薬は、非盲検薬剤師が他のスタッフが入室できない治験薬管理室内の医療廃棄ボックスに廃棄するため、盲検性は維持される。
  • 一度払い出され、何らかの理由で投与されず回収された治験薬は原則院内の手順に従い医療廃棄BOXに廃棄する
  • KEY OPEN前に未使用治験薬および回収済治験薬を依頼者に返却する場合、非盲検薬剤師は非盲検担当者以外のスタッフが入室できない治験薬管理室にて、非盲検モニターに未使用治験薬および回収済治験薬を返却する
  • 上記、廃棄・保管・返却は治験薬管理室内にて行うため、非盲検担当者以外のスタッフが入室することはない

治験薬の調製に関わる盲検性維持方法について

  • 当院の運用では、原則治験薬とともに調製方法等を記載した処方箋を一緒にCRCに払出し、処方箋に受領印を押印してもらった後に処方箋の返却を受けている
  • そのため処方箋記載事項等から盲検性が割れる可能性があるため、プラセボ時実薬時ともに同じ記載内容にするなど工夫し盲検性の維持に努める
  • 調製は治験薬管理室内のクリーンルームを使用し、調製後速やかに調製済みの治験薬バイアルおよび資材等を院内の手順に従い廃棄することで、廃棄物が非盲検担当者以外のスタッフの目に触れることを防止する

逸脱発生時の対応について

  • 非盲検薬剤師は治験薬に関わる逸脱を察知した場合は適切な書類を作成するとともに速やかに事態を非盲検CRAに伝達する
  • 必要時、治験責任医師に伝達する

治験関連書類の取扱いについて

  • 治験薬管理上発生した書類は全て治験薬管理ファイルに収納し、治験薬管理ファイルは治験薬管理室内に他の管理ファイルと区別した状態で保存する
  • KEY OPENまでは他の管理ファイルと区別して保存された状態を維持する

調剤・調製

治験薬の調剤・調製の流れについて紹介します。

内服薬およびプレフィルド製剤調剤について

基本的には以下の順に調剤を行っております。

  1. CRCより割付番号の書かれた紙(IWRSにて割付実行後通知されるメール等)をもらう
  2. 処方箋と割付用紙を基に調剤、監査を行う(処方日数と割付数の整合性確認等)
  3. 薬袋に治験薬を入れ被験者に渡す
  4. 管理表に記載(必要時IWRSに登録)

※空箱は全ての治験でSDV時まで保存しております。

注射薬調製について

基本的には以下の順に調製を行っております。

  1. 予め投与量が分かっている場合、投与日までにDrに処方をオーダーしてもらう(ベース体重を基に治験薬の投与量が決定する場合など)
  2. 処方せんの記載内容について事前に薬剤師2名で確認する(投与量、採取量、調製手順等の確認)
  3. 投与当日、CRCより割付番号の書かれた紙(IWRSにて割付実行後通知されるメール等)をもらう
  4. 処方箋と割付用紙をもとに注射薬を取りそろえ、管理表に記載する
  5. 投与当日の体重を基に、投与量に変更がないことを確認の上調製する

    a. 一人が調製、もう一人が後ろで調製手順の確認

    b. 調製後、空バイアル等はそのまま院内の手順に従い医療廃棄物BOXへ入れる

    c. 調製済みボトルに患者ラベルを貼付する

    ※患者ラベルを調製済み治験薬に貼付し払い出すことで、治験薬が他の患者の薬剤と混同することを防止しております。

  6. 出来上がった治験薬と処方箋をCRCに渡し、処方箋に受領印をもらい、処方箋を管理ファイルに保管する
    ※空箱に関してはSDV時まで保管しております。

搬入・回収

治験薬搬入体制について紹介します。

治験薬搬入について

原則、初回搬入はCRAの立会いの下で行いますので、日程調整をお願い申し上げます。初回以降の搬入に関しては立会いは不要です。(現在は立会いが難しいため、電話対応ができるよう待機をお願いしております。)治験薬管理ファイルは初回搬入時までにご作成ください。初回搬入当日は管理表、受領書の記載法、および受領登録の方法を直接お教えください。また事前ヒアリングの協議事項で不明点が残っていた場合、初回搬入時にお伺いします。
なお、受領可能者は治験薬管理者および治験薬管理補助者全員を連名で登録するようにお願い申し上げます。伝票上にも全員を連名にしていただき、治験薬管理者および治験薬管理補助者いずれでも受領できるようにご協力の程宜しくお願い申し上げます。

被験者からの治験薬回収について

内服薬等被験者から返却があった場合はユニパックに「返却日、プロトコル名、被験者番号、薬剤の割付番号および残数、払出日」を記載の上保存しております。

SDV時に確認して頂き、残薬等依頼者に返却する必要がある場合は、誤廃棄防止の観点からもなるべく速やかな依頼者への返却対応をお願い申し上げます。

 

依頼者への返却について

メールにてご連絡ください。返却用の段ボール、緩衝材は準備可能ですので事前にご連絡ください。

その他

事前ヒアリングについて

施設調査以降に「事前ヒアリング聴取リスト」をお渡しします。治験薬管理上の基本的な事項について記載をお願いしております。事前ヒアリング当日はこのリストをもとに不明な点についてお伺いいたします。治験を行う上でリスクとなる部分を明確にする目的で聴取リストを作成しておりますので、ご協力の程宜しくお願い申し上げます。

在庫数管理・期限管理について

在庫数に関しては原則払出時に残数を確認することで数を把握しております。また、期限管理は年2回(6月、12月)の棚卸による全治験薬の期限確認および毎月月初の期限確認を行っております。
具体的には棚卸時に搬入されている治験薬中最も期限の短いものを把握し、全試験で表にしております。

刻印 薬品
コード
診療科 棚番 プロトコル名 薬品名 内服期限 注射期限
282103 チケン
2558
救急科 冷4左1 〇〇〇〇 治)●●●●●   2019/7/31
280209 チケン
2603
血液腫瘍 D02 〇〇〇〇 治)●●●●● 2018/8/31  

期限が注射薬は向こう1カ月、内服薬は向こう3カ月を切っているものに関して、毎月の期限確認時に新しい期限のものが搬入されているかを確認し、搬入されていなかった場合CRAに連絡しております。

併用禁止薬チェックシステムについて

当院では下図のような併用禁止薬チェックシステムを導入しております。そのため、YJコード入りの併用禁止薬チェックリストの作成をお願いしております。